さっぱりユカタン寿司

さっぱりユカタン寿司

30年近く作り続けているさっぱり混ぜ寿司

20代から作り続けている混ぜ寿司があります。これを作り始めたきっかけは、約30年前のニューヨークでの出来事にあるのです。

当時、アメリカ系の金融機関に勤めていた私は、初めて単身でのニューヨーク出張を命じられました。アメリカに足を踏み入れるのは初めて。以前日本支店にいた同僚が空港に豪華リムジンを手配してくれ、颯爽と?乗り込んだまではいいのですが、なぜか車のライセンスが切れていたらしく(というのは後で判明)、数分後には警察に連れて行かれていました。運転手が尋問を受けている間、一人訳も分からず部屋の片隅に座っていると、現行犯で連れてこられたらしき人たちがいわゆる「マグショット」(映画などでおなじみの前から横からの写真)を撮られています。「いや、ちょっと、私、どうなっちゃうわけ?」という状態。二時間後に「Welcome to America!」の声に送られて無事に警察を出ることがでたときには本当にホッとしたものです。

ニューヨーカーの早口に、何度も聞き返さざるをえない自分の英語の拙さに情けなくなり自己嫌悪、さらには危うく誘拐されそうになるなど、散々な一週間を過ごした週末、日本で働いていた当時に知り合ったアンナが家に呼んでくれました。彼女と建築家のご主人、4歳のお嬢さんとのゆったりした時間。「そろそろ日本っぽい味が恋しくなったでしょ?」と作ってくれたのは、カリフォルニアロール。スモークサーモンとアボカドと白ごま、酢飯。まさに心とカラダが欲していた味。ブルーで統一したテーブルセッティングまで今も記憶しているほど、私にとっては記憶に残る食卓でした。

そんなわけで生まれたのがユカタン寿司。当時の職場の仲間から呼ばれていたニックネームに因んでいます。その時々で具が多少変わることはあっても、スモークサーモン、アボカド、白ごまは必須。これを食べるといつも「ああ、おいしい」と思う一方で、今となれば微笑ましくも懐かしい30年前のドタバタニューヨーク出張の緊張を思い出しもするのです。

#167 ユカタン寿司 材料(2人分)

  • 炊きたてのご飯(固めに炊く) お茶碗3杯分程度
  • 赤梅酢 大さじ2
  • スモークサーモン 100g
  • アボカド 1個
  • 大葉 4枚
  • 万能ネギ 2本
  • ★A
    •  {じゃこ 大さじ1
    •  松の実 大さじ1
    •  白ゴマ 少々}
  • いくら 適宜

作り方

  1. ご飯に赤梅酢をかけてしゃもじで切るように混ぜる。
  2. スモークサーモンは一口大に切る。アボカドは1cmの角切りにし、レモン汁(分量外)で色止めする。
  3. 大葉は千切りに、万能ネギは小口切りに、白ごまはひねりごまにする(指先でひねるように潰す)。
  4. 1が冷めたら、2とAを入れ全体を混ぜたら、いくらを加え、潰さないようにさっくりと一混ぜする。
※我が家では海苔を1/4の大きさに切っておき、各自海苔に上記を巻いて食べます。こちらもお試しください。
※お米は、昆布水(水600ccに昆布5gの割合。冷蔵庫に8時間以上置く)で炊くとさらに美味。

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教えてくれた人

サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。

https://yukakosakai.com/

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