2021.12.03|2023.02.24 更新

赤ちゃんと飛行機に乗るときに押さえておきたいポイント

Column

国内線・国際線ともに生後8日が過ぎれば、赤ちゃんは大人と一緒に飛行機に搭乗できます。帰省や家族旅行のほか、里帰り出産をした場合は、生後1カ月で赤ちゃん連れで飛行機を利用するご家庭もあるでしょう。
そこで今回は、赤ちゃん連れで飛行機に乗るときに利用したいサービスや注意点を先輩ママの声とともにご紹介します。

01. 赤ちゃんの航空運賃は?

日本航空株式会社(以下、JAL)も全日本空輸株式会社(以下、ANA)も国内線は生後8日〜3歳になるまで、国際線は生後8日〜2歳になるまで、大人の膝の上に座る場合につき航空運賃は無料です。LCC(格安航空会社)の多くは国内線も国内線も生後8日〜2歳になるまで、大人の膝の上に座る場合には航空運賃は無料です。
<先輩ママの声>
「2歳以上になると小児料金がかかるので、長男が1歳のときにハワイに行きました。息子は覚えていなくても、家族3人で行った初めての海外旅行は思い出に残りました。夫婦の絆も深まりました」(T.Gさん/3歳と5歳の男の子のママ)

02. 飛行機に乗っても赤ちゃんの健康への影響は大丈夫?

高度1万メートルの機内では、空気中の酸素濃度は地上の約80%になるため、身体に負担がかかります。このため、JALとANAの航空会社のホームページでは、「酸素不足が妊娠後期の妊婦や新生児にも、悪影響を及ぼすことがあります」など、航空機内環境と身体に及ぼす影響について注意書きがなされています。

しかし、呼吸器や心臓に重大な病気がなければ大きな問題は起こりにくいとされています。

ママやパパが気にかけてあげたいのが、気圧の変化。離着陸時の15〜30分間には急激な気圧の変化が起こり、耳が詰まった感じになったり、耳が痛くなったりすることがあります。耳抜きができれば解消できますが、自分で耳抜きができない赤ちゃんには、母乳やミルクを飲ませたり、おしゃぶりをくわえさせてあげるのが効果的です。
<先輩ママの声>
「離陸する少し前から授乳を始め、飛行機が上昇していく間も授乳していました。耳抜きができるだけでなく、気持ちも安定するので、飛行機が揺れても問題なし。効果抜群でした」(T.Mさん/6歳の男の子のママ)

03. 座席はどこがいい? 赤ちゃん連れにおすすめの座席を確保しよう

赤ちゃん連れの飛行機の不安を軽減するためにも、座席選びは重要なポイントのひとつ。おすすめの座席は赤ちゃんの月齢やフライトの長さにもよっても異なりますが、低月齢の赤ちゃんと中・長距離のフライトをする場合には、座席の前に設置できる簡易ベビーベッドが使用できる席がおすすめ。航空券の予約時に、ベビーベッドも予約しましょう。

もう少し月齢が大きくなると、赤ちゃんがぐずったり、おむつ交換時に席を立つときのために機体後方の通路側の席が便利!という声が多数。
一方で、フライトが短い場合は人目につかない窓側の方が授乳しやすくて良いという声も聞かれました。
<先輩ママの声>
● 機体最後方の座席一択!
「息子が赤ちゃんのときは、機体最後方の座席がラクでした。おむつ交換台付きの化粧室やCAさんの待機場所にも近く、安心でした。ぐずったときに座席を立ってあやす際にも目立ちにくい上に通路が少し広いので、便利。子どもが少し大きくなってからは、壁の前の座席が便利。子どもが足をバタバタしてしまっても前の座席を蹴る心配がないことがありがたかったです」(A.Yさん/3歳と5歳の男の子のママ)

● ママひとりのときは通路側に
「夫が一緒のときはどちらかが通路側に座ればいいのですが、私だけのときは必ず通路側の座席を選んでいました。一度だけ、母子のみ搭乗の際に窓側に座ったことがありましたが、ぐずるたびに隣の方に席を立ってももらって移動するのが本当に申し訳なかったです」(T.Mさん/6歳の男の子のママ)

04. 赤ちゃん向けのサービスを利用しよう!

ほとんどのベビーカーは機内への持ち込みができませんが、JALもANAも搭乗直前まで利用できる無料のベビーカーを用意しています。
また、JALもANAも事前改札サービスがあり、2歳以下の小さな子ども連れの場合は早めに機内に案内してもらえます。
さらに、ANA国内線の機内には一部の便を除き、ベビーベッドの用意があります。台数、設置場所、赤ちゃんの体重(10kgまで)に制限がありますが、予約の際に聞いておくとよいでしょう。JALもANAも機内にはおむつ交換台付きの化粧室があり、紙おむつ(M・Lサイズ)の用意があります。
<先輩ママの声>
「初めての帰省で娘がぐずったとき、あやしている間にCAさんにミルクを作ってもらいました。ミルクはスティックタイプのものを持参しました。粉ミルクと哺乳瓶を持ち込めば調乳してもらえるということを事前に調べておいてよかったです」(R.Tさん/1歳の女の子のママ)

「お盆や年末など、繁忙期の帰省時は事前改札サービスが助かりました。なるべく搭乗口の近くの座席に座って待つようにしていました」(A.Yさん/3歳と5歳の男の子のママ)

「JALは赤ちゃん専用の毛布の貸し出しをしてくれます。授乳ケープ代わりにもなり、便利でした」(K.Rさん/2歳と3歳の女の子のママ)

05. 先輩ママ発!機内で快適に過ごすためのポイント

何かあれば次の駅でサッと降りられる電車と違って、飛行機は離陸したら目的地に到着するまで密室の中。「ギャン泣きしたらどうしよう」と心配になるのも無理はありません。そこで、赤ちゃん連れでも快適な空の旅をするためのテクニックを教えてもらいました。

●空港の遊べるスポットで遊ばせて搭乗までに寝かしつける
「歩くようになってからの息子との帰省時は大変。じっと座っていられないので、空港のキッズスペースで遊ばせ、疲れさせてから搭乗します。そうすると離陸の頃に寝てくれます。
おかげで出発の3時間くらい前には空港に着いていなくてはなりませんが、空の旅を快適にするか否かの分かれ道なので、譲れません。羽田空港だと、国内線第2ターミナルの出発ロビー中央と保安検査場通過後のゲートラウンジにもキッズスペースがあり、毎回利用しています」(R.Iさん/2歳と4歳の男の子ママ)

●赤ちゃん専用の持ち物セットを手にとれる場所に
「おもちゃ、ミルクセット、おむつ1セット、スタイなど、搭乗中のお世話に必要になりそうな最低限のものを小さめのバッグに入れて前の座席の下に置くと、いざ使うときに慌てなくて済みます。
おすすめの持ち物は、アルコールフリーの手口ふき。口のまわりを拭いたり、鼻水が出たときやちょっとした汚れを拭き取りたいときなどオールマイティーに使えます」(T.Mさん/6歳の男の子のママ)

●お気に入りのおもちゃと初めてのおもちゃ、両方用意する
「騒いだりぐずったりを防止するためにも、機内ではいかに子どもを飽きさせないかが大事。
そこで、いざというときのために、お気に入りのおもちゃと、初めてのおもちゃ両方用意していました。初めてのおもちゃはまったく興味を示さず、1分も持たないことがあるため、やはりお気に入りのおもちゃの持参は必須です」(K.Rさん/2歳と3歳の女の子のママ)

学研に聞く
●周囲にあいさつする
「左右前後の座席のお客さんに“もしもお騒がせしたらすみません。なるべくそうしないように気をつけます”と最初に断っておくとよいと聞きましたが、なかなかあいさつのタイミングがつかめず……。子どもは泣いたりすることはありませんでしたが、到着して降りるときに“お騒がせしました”と一言お伝えして頭を下げました。
するとみなさんにこやかに対応してくださって、なかには『大丈夫ですよ。かわいいですね。ご丁寧にありがとうございます』とおっしゃってくだる方もいらして、あたたかい気持ちで飛行機を降りることができました。
親が配慮している姿勢をしっかりと示せば、周囲の理解を得られますし、赤ちゃん連れでもそわそわしたりドキドキしたりすることなく、飛行機に乗れると思います」(T.Gさん/3歳と5歳の男の子のママ)

●赤ちゃんのごはんは瓶入りがおすすめ!
「軽くてかさばらないレトルトパウチは便利だけど、パウチごと食べさせると手が汚れて扱いにくいです。その点瓶入りベビーフードは食べさせやすく、残したときにまたあとで食べさせることもできてラクでした」(T.Mさん/6歳の男の子のママ)

※お子さまと一緒にご搭乗される場合に限り、ベビーミルクやベビーフードの持ち込みが可能です。詳細は、各航空会社のホームページをご参照ください。


●泣き止まなくても慌てない
「娘が1歳のとき、何をどう頑張っても機内で泣き止まないことがありました。私も夫も焦ってオロオロ。時間にしたら10分ほどだったのですが、1時間にも2時間にも感じました。
帰りの飛行機でもぐずりかけたのですが、今度はあわてずに笑顔でゆったりと話しかけ、あやしました。するとピタリと泣き止みました。ママやパパの気持ちに余裕があるだけで、赤ちゃんの安心感にもつながるのだと思いました」(R.Iさん/7歳の女の子のママ)

06. 先輩ママ発!機内で安全に過ごすために注意すべきこと

トイレの扉や座席まわりのさまざまなものなど、飛行機には思わぬケガのもとが潜んでいます。先輩ママたちの声を参考に、注意が必要な場所をあらかじめチェックしておきましょう。

手や指をはさまないように注意!「ひじかけや座席のテーブル、リクライニングのレバーなど、座席には手や指をはさみやすい箇所がいっぱい。CAさんが離陸前に注意を促しにきてくれましたが、気を抜くと忘れがちなので、頭の中で“ひじ掛け”“テーブル”と連呼して気をつけていました。トイレの扉も指をはさみやすいので要注意です」(R.Tさん/1歳の女の子のママ)

熱い飲みものは避けるのが正解「子どもが倒してやけどしたら怖いので、食後に熱いコーヒーを飲みたい気持ちをガマン。実際に何度かテーブルを蹴ったので、お水にしておいてよかったです」(T.Gさん/3歳と5歳の男の子のママ)

抱っこ紐が安心「飛行機では、ママやパパがシートベルトをしてから赤ちゃんを抱っこして搭乗しますが、それだと不安なので、生後間もない頃はスリングに入れて抱っこしていました。もう少し大きくなってからは抱っこ紐に。抱っこ紐の場合は、抱っこ紐の上からシートベルトをつけられるのでより安心です。両手もあくのでラクでした」(K.Rさん/2歳と3歳の女の子のママ)

*新型コロナが少し落ち着き、「3年ぶりに実家に帰省する」「初めて遠方の両親に赤ちゃんをお披露目できる」といった声が聞かれるようになりました。ANAグループで運行する航空機は約3分で機内の空気がすべて入れ替わるなど、機内の空気循環の安全性が知られ、電車ではなく飛行機での移動を考えている方も少なくないかもしれません。
赤ちゃん連れで飛行機に搭乗する際の大切なポイントを押さえて、空の旅が快適なものになりますように。そして、かけがえのない家族の時間をお過ごしください。

(2023.02.24更新)



文/羽田朋美(Neem Tree