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産後まもなく、赤ちゃんもママもまだ吸い方・吸わせ方のコツがつかめない頃は、母乳育児のトラブルが少なくありません。中にはひとりで抱え込み、つらい思いをしているママも。そこで、助産師さんに母乳育児を軌道に乗せ、うまく授乳をするためのノウハウをお聞きします。
初めての子育ては、すべてが手探り状態で、慣れるまでは、思い悩むこともしばしば。とりわけ、出産直後から始まる母乳育児は、赤ちゃんのお世話の中でもつまづきやすいようです。具体的にどのようなトラブルがあるのでしょうか。よくある母乳育児のトラブルは、下記の通りです。
・赤ちゃんの吸いつきが浅く、乳首に傷ができてしまい、授乳のたびに激痛が走る。
・昼夜問わず授乳が続くことで、睡眠不足と心身の疲労が溜まってしまっている。
・赤ちゃんがまだたくさん飲めず、母乳が溜まって乳房が張る、または乳腺炎になってしまった。
ここに挙げたトラブルは、いずれもママの心身に大きな苦痛を伴うものであり、それゆえに母乳育児をあきらめてしまうケースは少なくありません。トラブルの対処法は後ほど解説するとして、次の項では、母乳を続けるメリットについてお話ししましょう。
まず、母乳には赤ちゃんの健やかな成長に必要なたんぱく質、脂肪、乳糖、ビタミン、鉄分、ミネラル、水分、消化や免疫にかかわる酵素が必要な量だけ含まれています。また、 母乳には赤ちゃんの免疫機能をつくるための様々な物質が多く含まれています。母乳は人工的には作り出すことのできないもので、下記の病気になるリスクを下げるもしくは、重症にならずにすむ可能性があるといわれています。
・胃腸炎
・肺炎・RSウイルス
・中耳炎
・アレルギー性疾患
・がん
・小児糖尿病
・肥満
・乳幼児突然死症候群(SIDS)
・大きくなってからの糖尿病や心臓疾患、皮膚炎、喘息およびその他のアレルギー疾患
・壊死性腸炎(早産児に母乳を与えた場合)
ほかにも、母乳育児は赤ちゃんの脳の発達を促進し、知能と神経の発達を高めるという働きもあります。
また、ママにとっては産後の子宮の回復を早め、妊娠中に増加した体重が早く戻る効果があります。さらに乳がんや子宮体がん、卵巣がんといった女性特有のがんになるリスクが減ったり、生活習慣病にかかるリスクが減ったりすることも研究で明らかになっています。
母乳育児にはたくさんのメリットがあることがわかっても、トラブルに直面したら、つらいものはつらい!というのが本音ですよね。そこで、ここでは、よくある母乳育児トラブルの解消法を紹介します。
〈乳首に傷ができないための対策〉
乳首の傷や痛みの原因のほとんどが、授乳のときの抱き方と、吸いつき方によるものです。「乳首の先が痛い」と感じたときや「ちゃんと飲めているかな?」と、苦痛や不安を感じたら、抱き方と吸いつき方を確認し改善しましょう。下記のポイントを参考にしてください。
・赤ちゃんの胸やお腹が、ぴたりとママにくっついていることを確認する。
・赤ちゃんが乳房を探そうとするとき、乳首の先が赤ちゃんの唇ではなく、鼻に向かっているのがよい角度。
・赤ちゃんが大きく口を開けて乳房をくわえるのを待つ。
・赤ちゃんの口が乳房に届きづらそうなときは、ママの身体を赤ちゃんに近づけるのではなく、赤ちゃんの背中から引き寄せる。
・赤ちゃんの頭に手を当てて引き寄せようとすると、赤ちゃんが顎を引いたかっこうにな
り、口が大きく開けられないので注意。
赤ちゃんの口がアヒルのような形になり、喉が動いているのが理想のくわえ方です。あせらずに、くわえ方が浅くないかどうか、痛くないかどうかを確認してから授乳をスタートしましょう。くわえ方をやり直すときには、赤ちゃんの口にママの指を入れて乳房からやさしく離しましょう。また、抱き方を変えてみるのもおすすめです。
〈乳首の傷が痛くて授乳がつらい場合〉
ここでは、自宅でできるケアを紹介します。
・保湿により皮膚を保護するラノリンクリームを使用する。
・乳首に母乳を塗る(母乳には天然の治癒成分が含まれており、傷ついた皮膚を修復する力があります)。
・搾乳器を使用し、乳首を休める。
・授乳の後、衣服やパッドにこすれて乳頭の傷が痛いときには、乳頭部分がくりぬかれたブレストシェルで覆って乳首を休める。
〈助産師など専門家に相談するタイミング〉
痛みが強い場合や、搾乳が難しいときにはがまんせずに専門家に診てもらいましょう。ミルクを飲ませて乳首を休ませるのも一時的な対処です。この場合にも、早めに専門家に相談しましょう。授乳や搾乳を休むことで、乳首は休まりますが、乳房は張って赤ちゃんが深くくわえるのが難しくなることがあります。そうなると、乳頭の傷がさらに深くなったり、乳腺炎をまねいてしまったりすることが心配です。専門家に相談すれば、乳首の痛みを改善しながら、トラブル悪化を避ける適切な方法がきっと見つかるはずです。
〈ママが疲れて授乳がつらい場合〉
赤ちゃんは、お腹がすいていないときでも頻繁に抱っこを求めたりします。ですから「これ以上、授乳がつづけられない」と思うほど、疲労困ぱいしてしまうのは当然です。疲れて休みたいと思うことに、罪悪感を覚える必要はないのです。まずは、短時間ずつでも睡眠をとって心身を休めることが肝心です。例えば、授乳が終わったらママはなるべくすみやかに横になりましょう。抱っこやおむつ替えなど、授乳後の赤ちゃんのお世話は家族にバトンタッチします。次の授乳のときまで、ママが赤ちゃんを気にせずにいられるように、別室でしっかり寝るのもよいでしょう。そのときは、赤ちゃんが母乳を欲しがるサインを共有しておきましょう。サインをまだ上手くつかめないときには、「2~3時間したら起こして」などと、互いに約束しておくと安心して休めるでしょう。また、一日のうち数回は、搾乳しておいた母乳を家族が飲ませるなど、まわりのサポートを得るようにしましょう。手による搾乳は、慣れるまでに時間がかかり余計に疲れることもあります。効果的に搾れる搾乳器を使うのもよいでしょう。うまく搾れずに母乳が乳房に溜まることが続くと、乳房トラブルにつながることもあります。休息をきちんととりながらも乳房トラブルを招かない方法は、ぜひ専門家に相談しましょう。
〈乳腺炎になった場合〉
ひどくなると激しい痛みや発熱を伴う乳腺炎は、とてもつらいもの。乳腺炎は疲れも相まって、症状が出てからあっという間に悪化してしまうことが多いものです。ママが自分でできる一番の予防と初期の対処法は、赤ちゃんにどんどん吸ってもらうことと、しっかり休むことです。疲れや乳房の症状がひどい場合や改善されない場合は、急いで助産師など専門家に相談しましょう。身体を休める方法や、乳房の手当てなど改善に向かうための糸口がきっと見つかるでしょう。
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慣れない授乳では、誰でも心配になったりトラブルに直面したりすることがあるものです。大切なのは、ひとりで抱え込まないことです。「つらい、疲れた」と声に出し、家族の助けを求めたり、母乳外来や相談などで専門家による適切なサポートを受けたりしましょう。回数を重ねるごとに、授乳のコツやママ自身が自分を守るコツを見つけ、母乳育児が軌道に乗る日が必ずやってきます。あせる必要はありません。赤ちゃんとのふれあいや授乳を楽しめるようになることを願っています。
総合病院で助産師として勤務後、30年以上続いた電話育児相談の実績をもつ(株)とらうべ で現在は活動中。年齢とともに心身に変化の出てくる女性にどんなときも伴走し、悩みや喜びを共有できる助産師でありたいと活動を展開している。母乳育児支援をはじめとした産後ケア訪問、タッチケアなど育児講座、育児用品や骨盤臓器脱ケア用品のアドバイスなどを行っている。
くわしくはこちらへ。〈とらうべ公式ホームページ〉http://traube.co.jp/